2023年11月1日、大阪のナレッジサロンで開催されたNBC主催のニュービジネスカフェに弊社代表の岡本充智が対談相手として登壇し、ビジネス成功の秘訣について実りある対談が行われました。

当イベントには、日本への留学、日本での就業を経て日本で創業したSanAn Connectの社長であるレ・アン・トゥアン氏と関西NBCの理事でも弊社代表が対談形式で、日本への留学から現在までの困難な経験やトゥアン氏が行っているビジネスについてのこれまでとこれからについて話し合いました。

(写真左から)トゥアン氏、岡本氏  。                         出典: KYOUIKUSOUKEN VIETNAM

対談のサマリー

日本での留学生活は新聞配達と受験勉強の両立が大変で、毎日深夜1時や2時に起きて新聞を配りながら受験勉強を行っていました。来日直後は日本語能力は十分とはとても言えない中で、毎日3~4時間程度の睡眠時間の中、日本の国立大学と私立大学の2校への合格を勝ち取られました。

大学を卒業後、トゥアン氏は日系ベンダーを経て、現在では大手企業ですが、当時はまだまだスタートアップ企業であったFPT JAPANやVTI JAPANなどで成果を出し、要職を歴任されました。VTI JAPANでは、10人の従業員からわずか5年で1000人の規模への成長に大きな貢献をされました。

2019年にベトナムで起きた子どもの安全を揺るがす事件を耳にし、「テクノロジーで子どもたちの安全を守る」ことを目指し、2021年に現在のSanAnグループを設立されました。SanAnの社名の由来は、「3つの安」、「安全」「安定」「安心」を意味し、ベトナムのみならず、世界中の子どもたちの安全を守るプロダクトの開発を目指されています。

最後に参加者へのメッセージとして、挑戦の中にこそ真の価値があり、ぜひとも未知なる道と海外市場へ勇気をもった一歩を踏み出して欲しいという熱い言葉を頂戴しました。

 

交流タイムでの質問回答

Q:日本企業とベトナム企業の異なる企業文化について教えてください。
A:
・長期計画と柔軟な環境
日本企業は3年や5年の計画を含む長期的な経営計画を持っているが、ベトナム企業はビジョンやミッションを持ちながらも、具体的な計画を持つ企業は少ない。一方で、柔軟性には富んでおり、あらゆる環境の変化に対して素早く柔軟に適応していく強みはある。

・社内文化と従業員同士の関係性
ベトナム企業では経営幹部と従業員、また従業員同士の関係が非常に親密であることを強調した。上司と従業員は同じオフィスで一緒に働き、企業が行う社内イベントには従業員の家族も参加する場合が多いとのこと。

・女性が働きやすい環境ベトナム企業では女性が働きやすい環境が整っているという印象を受けたそうです。これ、ベトナムのビジネス環境における重要なポイントとして考えられます。


Q:VTI Japan社の成長戦略について教えてください。
A:トゥアン氏は、VTI Japan社が5年間で10人から1000人に従業員数を拡大した方法について興味深い洞察を提供しました。目標として従業員数の拡大を掲げる代わりに、トゥアン氏は言語や文化の壁を取り除くため、快適な専用オフィスの確保を目標として掲げました。これは従業員のモチベーション向上につながり、目標を達成することができたそうです。

 

Q:日本企業で働く際、一番注意しないといけないことがありますか。
A:トゥアン氏は日本企業で働く際の特に注意すべき点について、言葉の使用に注目を促しました。文脈や文化的な観点が異なるため、コミュニケーションの際に意識することが重要です。

 

Q:ベトナム人は日本企業で就職する時どのような環境で働きたいと思われますか。
A:トゥアン氏の大学での小規模な調査によれば、ほとんどのベトナム人の学生は自分のベトナム語能力を活かせる環境で働きたいという結果がありました。

 

Q:多くのベトナムの若者はITに興味を持っていますか?学校のITコースは何を教えているか?
A:トゥアン氏は、多くのベトナムの若者がITに高い関心を持っていることを強調し、多様なITコースが提供されている述べました。データエンジニアリングに対する注目が高まっており、これによってIT分野での新たな機会が広がっているとのことです。

 

対談を聞いて

日本への留学を経て、日本で創業したトゥアン氏の率直な話は、同じベトナム出身者として感心することばかりでした。トゥアン氏が来日した当時の留学生活と私自身が経験した留学生活は大きく異なっており、私自身まだまだ努力が必要だなと感じました。 最も印象的であったのは参加者との質問応答セッションです。ビジネスにおけるベトナム文化と日本文化の違い、そして非常に広範囲にわたる質問についても日本語で明確に受け答えをしていたことが印象的でした。今後は私自身も興味関心があることだけでなく、あらゆることをインプットし、これからの自身の活動に活かしていきたいと感じました。(文責:レ・カン・トーロン)

SanAnグループと教育総研は、今後も緊密な関係をより発展させ、様々な領域で協力し、ベトナムと日本をビジネスで繋いでまいります。

プロフィール:Le Anh Tuan 氏

日本大学 経済学部(国際マーケティング)を2012年に卒業後、日系ITベンダーに入社。その後、FPTジャパン株式会社を経て、ベトナムオフショア開発事業を行う株式会社VTIジャパンの代表取締役に就任。2021年6月に、教育業界のデジタル化支援およびシステムの企画・開発・販促の提供と、システム開発・コンサルティングを主たる事業とした株式会社SanAn Connectを設立。海外ベトナム人材を活用したアウトソーシング(オフショア開発)のご提案と、保育・幼稚園におけるEdTech分野のリーディングカンパニーを目指している。

関西NBCイベント案内ページより抜粋、2023年11月1日閲覧

SanAn Corporation ウェブサイト

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